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導入対象面積

水稲170.1ha、麦169ha、大豆14ha

導入開始時期

令和2年12月〜

実証期間

令和3年〜令和5年

埼玉県スマート農業アクションプランの取り組み

  • 米麦等の切り替え時の効率化(生産効率化)
  • 新規作物導入時におけるスマート農業機械のシェアリング(県育成米などの品種特性への対応)

現状等

  • 当該地域は、米麦二毛作が行われており、その切り替え時期(春秋)の適期作業が重要である。しかし、高齢化に伴い大規模担い手に農地が集約する中で適期作業が困難となってきている。
  • 労働時間の短縮や効率化を図るには、自動操舵システムを活用した大型農業機械(トラクタ等)の導入が必要である。
  • 自動操舵システムを利用するに当たり、移動式RTK-GNSS基地局はほ場の移動に合わせて再設置が必要で、手間や風等で位置がずれるなどの問題がある。
  • 高精度測位ができるRTK-GNSS固定基地局は個人で設置するには高額であり、導入は困難である。

目標

  • 自動操舵システムによる各種作業時間の削減
    代かき、畦塗り、田植え、薬剤散布、は種
  • 費用対効果
    規模拡大、省力化による費用の償却
  • 疲労度
    自動操舵使用による疲労度の軽減
  • 規模拡大

導入技術と効果

RTK-GNSS固定基地局の共同設置による利用料金の削減

半径20kmエリアを高精度で現在位置を測定できるRTK-GNSS固定基地局を共同で設置した。固定基地局を利用した自動操舵システムは設置当初の7台から22台に拡大し(シェアリング)、システム1台当たりの利用料金を約62%(約13万円 →約5万円)削減することができた。

GNSS利用装置の装着による作業時間削減

ガイダンスや自動操舵などを利用できるGNSS利用装置を既存の農業機械に装着することで、作業時間を削減できた。

作業 導入前 令和4年度
代かき 22分 18.3分
耕うん 33分 18.6分
畦塗り※ 5.9分 5.8分
田植え 15.6分 13.2分
は種 16.8分 15分
ブームスプレーヤー 3.6分 2.2分

10a当たりの作業時間(分)
※100m当たりの作業時間

疲労度の軽減

作業者の疲労度の軽減効果が見られた。

作業 手動操舵 自動操舵
畦塗り 57.4 26.5
田植え 41.2 22.1
は種 85.3 11.8
ブームスプレーヤー 69.1 10.3

疲労感VAS検査

※疲労感VAS検査…アンケート記入による調査で、疲れを全く感じない最良の感覚を0とし、何もできないほど疲れきった最悪の感覚を100とする。

労働時間の削減(効率化)による栽培規模の拡大

栽培面積を8%(170ha→184ha)に拡大できた。

導入前 170ha
令和4年度 184ha

栽培面積

実証・導入した機械

機械 メーカー モデル 台数 写真・画像
自動操舵(ガイダンスシステム) 株式会社トプコン モニター:X25
アンテナ:AGI4
ハンドル:AES35
2台
RTK-GNSS基地局 エム・エス・ケー農業機械株式会社 1基

導入を検討されている方に向けて(農業者の声)

  • 導入してよかったこと
    耕うん、は種、田植えでは時間短縮が図ることができ、作業中のストレスを軽減できました。また、肥料散布精度が高く、資材費軽減も図ることができました。
  • 想定と違った点
    RTK基地局からの距離等によっては位置情報受信が不安定となることがありました。また、自動操舵システムの地図登録がローマ字のため、慣れが必要でした。
  • 今後導入したい方に向けて
    自動操舵システムは、内容によって作業時間の削減効果は異なること、コスト削減につながるものではないことを理解しておく必要があります。しかし、今後、大規模担い手に農地集積が増加することが予想される中で、スマート農業技術は労力不足解消の手段として必要不可欠になると考えます。また、自動操舵システム作動中は、作業そのものに集中する必要がなく、その時間を自由に使う(例えば、経営方針を考える等)ことができます。