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導入対象面積

6.9ha

導入開始時期

令和3年1月〜

実証期間

令和3年〜令和5年

埼玉県スマート農業アクションプランの取組

水稲の水管理による高温対策(県育成米などの品種特性への対応)

現状等

  • 水稲栽培における水管理は総労働時間の約25%を占め、作業別では最も作業時間が多い
  • 主要な担い手が高齢化し、今後、労働力不足が心配される。また、経験に裏付けされた技術を持つ熟練者がリタイアした場合、技術が伝承されない事態が心配される
  • 高温年には水稲に高温障害が発生し玄米の品質低下が見られている

目標

  • 省力化
    慣行水田と比較して水管理に要した時間を50%削減
  • 高品質化
    慣行水田と比較して高温障害を受けた被害粒の割合を10%削減
  • 農業用水の有効利用
    慣行水田と比較して給水量(時間)を10%削減
  • 見える化
    データを活用した生産技術のマニュアル化

導入技術と効果

多機能型自動給水栓による水管理作業の省力化

多機能型自動給水栓を活用した水管理の自動化と遠隔操作技術を導入したことで、水管理作業は水管理ルート上で水稲の生育状況や機器の動作を眺める程度になり、水管理のためにほ場を訪れる回数も94%(慣行ほ場75回 → 実証ほ場4.7回(2年平均))削減できた。

ほ場 令和4年度 令和5年度
慣行ほ場 76回 74回
実証ほ場 3.5回 5.8回

1ほ場あたりの管理回数(2年平均)

収量・品質への影響

収量はやや増収傾向(慣行:507.5kg/10a・実証:544.7kg/10a(2年平均))、品質への影響は同程度(慣行:9.1%・実証:9.6%(令和5年度))と考えられる。

被害粒の割合(%)【令和5年度】

ほ場 令和5年度
慣行ほ場 9.1%
実証ほ場 9.6%

※ 米の品質等級において、被害粒等が15%以下を一等、20%以下を二等、30%以下を三等、それ以下を等外と定義しています。
  詳しくはhttps://www.maff.go.jp/j/seisan/syoryu/kensa/kome/k_kikaku/をご覧ください。

実証・導入した機械

機械 メーカー モデル 台数 写真・画像
水田水管理省力化システム 積水化学工業株式会社 水まわりくん(遠隔操作型) 11カ所
水稲向け水管理支援システム ベジタリア株式会社 PaddyWatchPW-2400
利用可能時期:2026年3月末まで
11カ所
環境モニタリングシステム ベジタリア株式会社 FieldServerFS-2300
利用可能時期:2026年3月末まで
1式
IoTカメラモニタリングシステム ベジタリア株式会社 FieldCamFC-1000 4台

導入を検討されている方に向けて(農業者の声)

  • 導入してよかったこと
    水まわりくんを導入したところ、慣行と比較して、水管理の作業回数は95%程度削減されました。また、水管理の遠隔操作が可能になったことで、バルブの開閉作業がなくなり、異常がなければ車からの確認のみで済むようになりました。さらに、段差のあるほ場では転倒する危険性がありますが、遠隔操作によってバルブの開閉が自動化されることで、危険な作業が不要となり、作業の安全性が高まりました。
  • 想定と違った点
    水まわりくんの水位センサーが上限を示すとその日の自動入水が止まってしまうことを知りませんでした。
    また、水まわりくんの水位センサーへのゴミ詰まりによってフロートが正常に作動しなくなることがありました。
  • 導入に当たって留意したほうが良い点
    機器が高額なため、導入を増やす場合には費用対効果をしっかりと確認する必要があります。
    水まわりくんの導入にあたっては、導入ほ場を点在させるのではなく、エリアで集約して導入したほうが良いと考えます。
    センサーとつながるコードがむき出しとなっており、動物にかじられると断線してしまうため、PF管を用いるなどの対策をしたほうが良いと考えます。
  • 今後導入したい方に向けて
    水まわりくんを1台導入するだけでは効果は実感できないと考えます。
    普段の水管理ができない方(兼業農家等)にとっては、水まわりくんの導入は有効であると考えます。