
研究期間
〜令和3年度
対象者
埼玉県内のきゅうり栽培農家
概要
きゅうりに感染する7種類のウイルス病と4種類の糸状菌病を対象とし、それぞれの症状写真を デジタルカメラで撮影し、深層学習という手法を用いてコンピューターに学習させ、葉の症状写真で自動診断が行える技術開発を目指した。
深層学習で構築したAIの正答率は概ね 80%以上であり、専門家の診断と同等以上の精度となった。
その後、全国的な研究機関と共同で他作物の病害虫も対象とし、現在では、日本農薬株式会社から AI 病害虫雑草診断アプリ「レイミー」が公開されている。
背景・目的
なぜ病害虫の診断が重要なのか?
作物には多くの病害があり、それぞれ対応策が異なるため。
適切な対策を講じるためには病原の特定が必要だが、判定には専門知識を要するため、専門機関で診断していた。
迅速かつ適切な診断を実施するために
生産者等が所有する携帯端末等を使って、通信機能と連携した人工知能(AI)が解析して診断結果を回答できる画像診断システムの開発を目指した。
方法
主要病害虫のデジタル画像を大量に用意
きゅうりに感染する7種類のウイルス病と4種類の糸状菌病を対象として、それぞれの症状写真をデジタルカメラで撮影し、数百から数千枚単位で用意した。
深層学習によるAIの構築
深層学習により、用意した画像から病害を識別するAIを構築し、正答率を検証した。
結果
正答率は概ね80%以上
開発したシステムは、専門家の診断と同等以上の精度が出せた。
重複病害でも機別可能
複数の病気に感染している葉でも検証したところ、同様に高い精度で正答した。

罹病葉の写真と使用時のイメージ図
CCYV=ウリ類退緑黄化ウイルス、CMV=ウリ類モザイクウイルス、KGMMV=キュウリ緑班モザイクウイルス、MYSV=メロン黄化えそウイルス、PRSV=パパイヤ輪点ウイルス、WMV=カボチャモザイクウイルス、ZYMV=ズッキーニ黄斑モザイクウイルス、
成果の活用
AI病害虫雑草診断アプリ「レイミー」で活用
今回の研究は、きゅうりを含めた様々な作物を対象に全国的な研究機関と共同で実施されたもので、その成果は日本農薬株式会社が提供するAI病害虫雑草診断アプリ「レイミー」として提供されている。
連携機関
学校法人 法政大学